ピアノに聞いてみようと

2020年4月4日(土)

4月の音の葉のコンサートを中止、延期するメールを
ご予約のみなさまに送りました。

するといつもいらしてくださるHさまよりこんな返信を頂戴しました。
わたしは、音の葉を始めてから1度も中止したことがなく、
今回、本当に精神的に参っていました。
でもメールを頂戴して、ああ、そうだった。音の葉には宝ものがあるんだった、と改めて感謝しました。
そのメール、ぜひご一読ください。
(ご了承いただいて、掲載しています)

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心痛をお察しします。
自分のやや長い経験から見てもいまだかつてない未曾有の体験を世界とともに日々強いられています。
この機会に是非、そちらのピアノさんにたずねてみてください。
あなたの生まれた頃はどんなだったの?
そして今をどう乗り切るつもりなの?
かならずやもっと経験をつんで、もっと味わい深い楽器になろうともくろんでいるはず。
伊達に永くは生きてはいません。
どんな時にも小さな名器として愛されてきたのだと思います。
日々一喜一憂する我々をクラシック音楽はどこか一点だけ支えて、
見守ってくれるような気がします。

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泣けました。
音の葉houseのピアノは、1931年のドイツの グロトリアン社製のものです。
ニューヨークで1929年に起こった世界恐慌が、世界中を不穏な空気にし、
そして戦争へと向かっていきます。
このピアノが出来た2年後、ヒトラーが出現します。

いったいこのピアノはどこにいたんでしょう?
そこで、どんな声を聞き、どんな音を聞いて、音を出してもらうことも少なく、どんな気持ちでいたのでしょうか。

今の世界はコロナという戦争と戦っています。
わたしも多くの方がそうであったように、
3月半ば以降のスケジュールが全部吹っ飛んで、とても暇になりました。
しばらくこのピアノを弾いて、グロトリアンは戦争時代、
どうやって乗り越えたのか、そして乗り越えた先に何があるのか、
尋ねていようと思います。

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