100回めの『Program』

2019年6月2日(日)

100回めの『Program』のデザインは 紅白のお祝いバージョンで 華やかにジャーン、とまでは思わなかったけれど、進藤さんは 何か記念のようなもの、とおっしゃっていたから どうなるのかな、と思っていた。
しかし手元に届いた『Program』は モノクロだった。

「だっていつもどおりなんでしょ。」
「記念じゃなくて 通過点だって言うじゃん。特別じゃないんでしょ」

はい、そうです。その通りです。
私には いつもどおりのコンサート本番で、
むしろ今回だけでなく、毎回が特別なんだから 100回たって いつも通り
できる限りのことをやって迎える、それだけ。

ひねくれた奴だな、と自分でもちらっと思いつつも、どうしてもお祝いムードになれない自分をそうさらけ出していた。

届いた『Program』の表紙には 小さな葉っぱが 数えきれないくらい いっぱい描いてあった。
進藤さんの手描きである。
その表紙を開けると 佐藤奈美さんと紫芝のばらさんが 過去 幾度となく出演くださった時の写真が やはりモノクロで たくさん貼り付けてあった。
そのひとつひとつが 思い出深い 音の葉の時間であった。

曲目は とてもカラフルなトレーシングペーパーに印刷してあった。
全部で7色。当日 どの色になるか、誰にもわからない。

コンサート当日、いらしてくださったお客様 おひとりおひとりに 大事にお渡しした。
「わぁ!」と言って喜んでくださるお姿を 嬉しく拝見しながらお渡しできる役、
すごく嬉しかった。

しかし、私は 大失態を犯してしまっていた。
肝心の演奏家おふたりに この『Program』をお渡しするのを忘れてしまっていたのだ。

全部が終わって、解散!となった時、
玄関の外で 「おふたりに『Program』をお渡ししてないでしょ」と
進藤さんに言われた。
あああああああ!!
大慌てで 取りに入り、おふたりに お渡しした、その時である。
「あれ? 色が付いてる!」
誰かが叫んだ。

ん?色?
よく見ると モノクロのはずの葉っぱの一部に色が付いている。
浮かび上がったピンクの文字。
100th Anniv.

おふたりだけに 色を塗ったのね、と思ったら
「違うよ〜〜!もう内緒にしてたのに〜〜〜!」と
残念がっている進藤さんが 隣にいた。

「全員、こうなってるんだよ。日光に当てると色が浮かび上がる特殊印刷なんだよ。内緒だったのに〜、気付く人だけのお楽しみだったのに〜」

そもそも この『Program』という作品は 捨てたくないと思っていただけるように作ることをコンセプトにしている。
今回の『Program』を手にしてくださった方の中で おひとりでも 窓辺に飾ってくださる方がおられたら、その方が そっと気づいてくださるにちがいない。
それを狙っていたんだ。

完全にやられた。

奈美ちゃん、のばらちゃんに渡し忘れるという失敗をしたのを 後悔していたけど、
もしかしたら 神さまが わざと忘れるように 仕向けてくださったんじゃないか、と思った。
渡し忘れた自分を褒めたいと思った。

ありがとう。ありがとう。
こんなサプライズ、私は 一生忘れない。

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