音の葉インタビュー

文 = 進藤一茂(音の葉スタッフ/デザイナー)

イントロ

まえがき

僕は音楽の専門家ではありません。でも、音楽を聴くことも、コンサートに出向くことも大好きです。そんな僕が、いろいろなコンサートを観ている内に、ふと、あることに気付きました。

それは、演奏家は「その人なりの動き」をしながら楽器を弾いている、ということでした。例えばヴァイオリンなら、ある人は胸を開くように堂々と、ある人は考え込むように少しかしげながら、ある人は腕以外をあまり動かさずに・・などなど。

それらはおそらく、長い間の鍛錬によってつくられていった、その人にとっての良い音を出す身体の使い方なのでしょう。でも、いち音楽ファンの僕には、「その差はどんなところからくるのだろう?」とか「そうしたことにご本人はどのくらい自覚的なんだろう?」という素朴な疑問が湧いてきました。そしてそういう観点から演奏する姿を見ていると、そうした身体の動きが、音そのものを表しているようにさえ思えてきました。

そんなことを漠然と考えていたときに、ホームページ作りがきっかけで「音の葉」に出会いました。僕にとって、クラシック音楽の演奏家とこれほど近いところで会える機会は他にありません。そこで、音の葉のコンサートに出演している演奏家に、演奏するときの身体についてインタビューさせてもらうことにしました。

出演している演奏家は、皆さん二十代の若手です。ですからもしかしたら「自分の型」のようなものはまだ出来上がっていないのかもしれません。ですが、だからこそ「身体の使い方」には意識的であり敏感でもあると考えられます。

インタビューは、8名ほどの違った楽器の演奏家に行う予定です。インタビューを終えたとき、きっとなにかしらの着地点が見えてくることでしょう。現時点ではそれがどんなものなのか見当が付きません。用意した結論ありきで物語を進めるのはつまらないし、そもそも演奏家たちがどんなことを話してくれるか分からないからです。僕自身が一番、この旅がどんなものになっていくのかを楽しみにしています。

テーマは「演奏と身体」です。コンサートを観るときに、あるいは音楽を聴くときに、より楽しめるきっかけになればいいな、と思っています。

第一回目のゲストは、ヴァイオリニストの星野沙織さんです。
インタビューはこちらからどうぞ