紙モノとしてのプログラム vol.5(Designed by Kazushige Shindo)

2020.1.6 UP

2019年5月のプログラム

2019,5月 進藤デザイン テキスト

音の葉のコンサートが100回目を迎えました。
 
ながはらさんはきっとこう言うでしょう。「いつものコンサートが積み重なって、たまたま今日が100回目というだけです。100回目だからって特別扱いはしません。いつもと同じです」
 
その姿勢に共感するし、プログラム制作も、100回目だからといってことさらに特別扱いはしません。逆を言えば、毎回が特別です。
 
だけど今回は、ひとつ、いつもと違うことをしてみます。
 
これまでのプログラムは、曲やコンサートの内容をビジュアルにするという想いで作ってきました。今日はそうではなく「音の葉」を主題にやってみました。
 
「音の葉」という名前は、いつも側にあるのですっかり慣れてしまいましたが、あらためて考えてみるととても良い名前です。
 
たくさんの「葉」が集まって、光を受けて、舞っている。100回のコンサート、たくさんの演奏家、聴きに来てくれるお客さん、会場となった場・・・それぞれが葉っぱとなって、音の葉を形づくっている。
 
その形は「ハート型」とか「樹の形」といった分かりやすいものではなく、「何だか分からない形」。おそらくながはらさんは、この100回目のことを、今回のようなものとして想定してはいなかったはずです。そしてこれから先も、音の葉がどのような形になっていくのか、本当のところは誰にもわかりません。
 
今日の主役は、佐藤奈美さんと紫芝のばらさん。音の葉への出演回数はデュオとしては最多だと思います。そんな彼らのこれまでの様子を内側の見開きにコラージュのように組み合わせて焼き付けてみました。聴きに来てくださっているみなさんの、おひとりおひとりの「音の葉」の形を、ふたりの姿を通して感じてもらえたらと思います。ふたりの変遷そのものが音の葉を形づくっているとも言えるのです。
 
100回目の音の葉。これからも、自由に奔放に、色も形も定まらないでいることを期待してデザインしました。

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