紙モノのプログラムを作るということ。

2019年3月21日(木)

今年(2019年)1月から 音の葉でお渡しする紙モノのプログラムは グラフィックデザイナー 進藤一茂さんにお願いしていて、今月で3回めだった。

『捨てたくないプログラム』を目指して 毎回 進藤さんが
まるで子どものようにワクワクしながら 作ってくださっている。
『捨てたくないプログラム』に共感くださった方のおうちには
きっとお渡ししたプログラムが どこかにあるはず(と期待)。
そこからどうなさるか、は 自由なのであるが、私は 当然 すぐに手にできる
ところに置いて、眺めている。
そしてこの日は この曲がこうだった、この曲は ああだった、と思い出すのだ。
たった1回のコンサートなのに、私は 終わってしばらく経っても その日の
音の中を漂うことができている。
かなり昔からずっとやりたかったことが 今 まさに実現している。

音の葉は 今のところ おひとり2000円頂戴している。
定員は 20名弱。
午前、午後の2回公演。
入ってくるものは 計算してくだされば、小学生でもすぐに答えが出る。
その中から 出演くださる演奏家の方への謝礼や、ピアノ調律、お茶、お菓子などの経費を差し引くと いくらも残らない。
当日 手伝ってくださるスタッフの皆さんにも お渡ししたいのに、甘えている。
その中での 紙モノのプログラム作成だ。

ある日、進藤さんが 私に聞いた。
「あのさ、印刷代とか 紙代とか いくらまで使っていいかな?」
そこで私はこんな話をした。
「例えば AとBで 迷う紙があるとしたら、その迷いが お金なのは いやだ。
Aがいいけど、高いから 安いBにしよう、って選ぶと 10年経ってその作品を見た時に、これは 紙が高かったからこれになったんだな、と思い出す。それはどうしても嫌だ。多少の額で迷うのはもうやめよう。バランスは とても大事だから、突拍子もない金額は出せないけど、やりたいこと、やりたいモノは 予算の中で考えるのはやめよう。
自信を持ってお渡しできる作品としてのプログラムを作る。
それがきっと私たちのこれからを作る大事な要素になると思う。」

進藤さんの顔がぱっと明るくなったのを私は見逃さなかった。
それからというもの、進藤さんからは ほんとに5歳児か!と思うくらいの
集中力、ワクワク感が伝わってくる。

「どうしよう。めっちゃ良いのができちゃった」
こんなメッセージが送られてくる。それも毎回。
私は 歩きスマホしながらそのメッセージを読んで 道端で あはは あははと豪快に笑った。

この後、進藤さんからは 重要なご提案があって、
紙モノとしてのプログラムをお渡しすることができている。
感謝しかない。

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