プログラムという作品Vol.2 『箱』について Kazushige Shindo

2019年3月7日(木)

 2019年2月の音の葉でお渡ししたプログラムは 箱に入っていました。
この箱についてのデザインに グラフィックデザイナー 進藤一茂氏から
メッセージが届いています。
ぜひこちらもご一読ください。

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あるひとつの現象や、ひとりの人間、ひとつの曲、そういった「ひとつのもの」の中には、さまざまな要素が混在しています。一見とても明るい雰囲気を感じたとしても、その端っこに、その裏側に、暗い何かが含まれている。

 
それらは、必ずしもハッキリと区別されているのではなく、明るさの中に暗さがあったり、明るさと暗さがにじんでいたりして、すべてのものはとても複雑に存在しています。
 
プログラムを入れる箱のフタは、夜明けをイメージしています。
 
デザインのイメージを膨らませるために今回の演奏プログラムの音源を聴いてみたときに、僕は「夜明け」の気分を感じました。特に根拠はありません。曲のムードから直感的に降りてきたのです。
 
夜明けの時間は、実にぼんやりと、じんわりと、夜から朝に変わっていきます。その境目はあいまいで、朝と夜ははっきりと区別されているわけではありません。
 
「夜明け」というひとつのイメージがあるにもかかわらず、そこには様々な顔があり、移り変わりの曖昧さをもっている。そういうところが、今回のデザインのもうひとつのテーマである「多面性とあいまいさ」にとても合っていると思いました。
 
箱の内側も、そのように考えました。上ぶたの裏側は暗い茶色に黒の文字が印刷されています。身の内側は鮮やかな黄色にして、暗い茶との対比を大きくしました。箱の中身を、例えば人間の内面と考えたときに、二面性のようなものとして捉えられるようにしました。

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