Pianist 向井山朋子展 @銀座メゾンエルメス フォーラム に 行ってきた

2019年2月23日(土)

Pianist 向井山朋子展 @銀座メゾンエルメス フォーラム
(2019年2/5~2/28)

2月5日から始まったばかりの展 2日めに行ってきた。
エレベーターで8階に上がると すでに向井山さんのピアノが聴こえてきた。会場には まだ2、3人しかいない。

ピアノを弾く向井山さんは オーバーオールを下半身だけにして、薄い黒の袖のないTシャツの上に 蛍光黄色のような色のタンクトップを重ねて
足元は ヒョウ柄に毛皮がついたハイカットのコンバース。
シルバーグレイの髪を無造作にとかしつけている。

Bachの曲を何度も同じところを さらっている。
凛とした空気が会場いっぱいに漂う。

斜めにしたり、倒して置かれたりしてあるアップライトピアノ。
天井から 吊るしてあるグランドピアノ。
普通じゃない置き方のピアノの中に 普通に演奏できるピアノが3台。
私は そんなピアノがたくさんあるところを ゆっくりと歩いてまわった。
そうこうしているうちに 音出しは終わった。

会場は いつのまにか たくさんの人になっていた。
しばらくして すーっと向井山さんが入っていらした。
私は 会場で借りたブランケットを床に敷いて座った。
他の人たちも 思い思いの場所で 耳をすませる。
ガラスブロックから 昼間の光が差し込む。

演奏が始まった。
音の狂った小さなアップライトピアノ、ごく弱い音。
トイピアノと一緒に グランドピアノでも演奏する。
不思議な空間だった。

終了後、隣にも部屋があることに気づく。
特別な雰囲気のあるグランドピアノが2台。
そこに入ってみて 私は動けなくなってしまった。

東北の震災で津波にあったグランドピアノだった。
足がとれたり、鍵盤がガタガタだったり、ひどく壊れている。
その弦の上全体に真っ白い布団が敷かれていた。

『ピアニストが寝ている間も練習できるよう、死んでからもピアノが弾けるように。』

会期中にまた来ようと思った。
次回は できれば 真夜中とか 早朝とかに。

 

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