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第4回 「演奏の現場でのピアノ、いろいろなピアノ」

ピアノを弾くのに、演奏技術だけ備えていればそれで良いのかというと、
まったくそういうわけではありません。なぜかというと、ほとんどのピアニストは、
自分の楽器を会場に持っていくことができないからです。
ピアノという楽器の「知識」を積極的に取り入れることで、
必ず演奏にも良い結果をもたらします。


ピアニストは、色々な場所で様々な種類のピアノを弾くことを余儀なくされます。さらに、リハーサルに十分な時間が取れないことも良くあることです。そんなときに、楽器の見た目などからある程度の「あたり」を付けられれば、演奏そのものに集中できる可能性が高くなります。今回は、製造の過程を知ること、メーカーやブランド名・製造番号などの情報を得ること、また、ボディのシェイプや仕上げの色などの外見を観察することなど、様々な角度からピアノを見て、それをどう演奏に役立てることができるか、という講座となりました。ピアノというのは本当に奥深いものだと、改めて感じる内容でした。



受講者の声

吉國美紀(ピアニスト)

三矢さんには、数年前から自宅のピアノの調律をお願いしていますが、 初めてお会いした時に感じたのは、「調律師さんと、こんなにお話ししていいんだ!」 ということでした。楽器のこと、ピアノに関する本のこと、演奏者のことなど、 三矢さんから伺うお話はとっても面白くて、お会いした後はなぜか、 ピアノを弾くのが楽しくなってしまいます。

そんな三矢さんの今回の講座では、外国の音楽大学におけるピアノに対する考え方や、 ピアノに使う素材がどのように変化していっているのか、また演奏者が本番を迎えるにあたって、 会場のピアノの響きを自分で変えられるテクニックも伺うこともできました。 私は講座を終えた数日後に、ホールでの録音があったのですが、この日教わったことを実践すると、 楽器の響きが本当によくなり、びっくりするやら嬉しいやらでした。

アコースティックの楽器がどんどん変化し、電子ピアノが台頭している世の中では、 ピアニストがそれら電子楽器とどのように付き合っていくか、ということも 考える必要があるし、またピアノを置いている施設やお店の方は、それらを どのようにメンテナンスしたり手を入れていくか、そんなことも考えてもらえたら、 演奏者とお客さん、双方が気持ち良く音楽を楽しめるのでは、ということにまで 思いをめぐらせてしまいました。

よい演奏には、演奏者が自分の技術を磨いたり、内面と向き合うことはもちろんですが、 必ずそれを支える楽器や会場があり、それらをどのように効果的に使っていくかということも、 演奏家の可能性を引き出してくれる、大切な要素のひとつなんだな、と実感した今回の講座でした。