子どもたちと一緒にコンサートを聴いた朝のこと

2017年12月5日(火)

新しい音の葉として 出発した11月の音の葉houseには
クラリネット 佐々木純子、ピアノ 吉國美紀が 出演してくれた。

このふたりには 以前 あっと驚くプログラムで びっくりさせられたことがある。

次から次へと予想を裏切るプログラムの展開、いったいどこに連れていかれるのか、最後まで わからなかった。
あの日のことは 今でも忘れられない。

 

今回、ふたりが選んだプログラムのテーマは 「アメリカ」
アメリカ出身の作曲家の作品、アメリカと接点のある作曲家の作品をまとめたプログラムだった。

バーンスタイン、コープランド、アンダーソンといったアメリカを代表する作曲家のものや
黒人霊歌、などを演奏してくれた。
今回も まるでジェットコースターに乗っているようなプログラム進行に、
またしてもやられるか、と思っていた。

プログラムがある程度 進んだ時、子どもたちの様子を見て ふと思った。
演奏しているどの作品も 作曲家たちは 戦争を体験していて、実際に戦地で戦った人もいたり、
戦火を逃れて アメリカに亡命した人もいた。
黒人霊歌は アフリカから 奴隷として売られてきた人たちの哀しみが 歌となった。
ストレートに私の心の中のひだをえぐる。

どの作品も とても明るく楽しいものが多いのだけれど、
明るければ明るいほど、多くの哀しみが入っているに違いないのだ。

そんな曲を聴きながら 子どもたちが
ママの背中に おいかぶさるようにして にこにことママを覗き込んだり、
ママに甘えて抱っこしてもらっていた。
そんな姿を見ながら聴いていたら
《あぁ、これこそが 平和ってことだ。作曲家たちが 願いに願った平和が今 ここにある》
そう思った途端、どうしようもなく涙が溢れて 私はどうすることもできなくなってしまった。
きっと作曲家たちがこの風景を見たら 喜ぶに違いない。
なんだか たまらなく幸せな気持ちでいっぱいになった朝のコンサートだった。